脳神経減圧術とは

 

   脳や脳神経の機能障害のために異常な運動や痛みが起こることがあります。 その中で脳の動脈が脳神経(顔面神経や三叉神経、舌咽神経)を圧迫することによって以下の症状をきたす場合、 圧迫している動脈を神経から離して減圧する手術が有効です。

   顔面神経は顔の表情筋へ指令を伝える運動神経で、脳幹部から出て顔の筋肉へはいります。動脈が顔面神経を脳幹の近くで圧迫すると、顔の筋肉がぴくつきます。ぴくつきは目のまわりの眼輪筋からおこり、頬や口のまわりが同時にぴくつくようになります。これが顔面けいれんや片側顔面けいれんと呼ばれるものです。顔面神経を圧迫する動脈を手術で減圧すると、けいれんが止まります。減圧手術は、耳の後ろの骨を開け、手術用顕微鏡で顔面神経の基部を圧迫する動脈(前下小脳動脈や後下小脳動脈、椎骨動脈)を移動し、スポンジや生体糊などを用いて支えます。90%以上の人に満足いく結果が得られます。

   三叉神経は顔の感覚を伝える感覚神経と顎の運動を伝える運動神経がありますが、三叉神経痛は感覚神経が脳幹に入る直前で血管に圧迫されて起こります。三叉神経感覚枝には3本の枝があり、三叉神経痛の痛みは2枝(頬から鼻、上顎、耳)や3枝(下顎、歯ぐき)に起こることが多く、洗顔や歯磨き、食事、会話などで刺すような痛み、電撃痛が誘発されます。痛みは短時間ですが、激痛が頻回に起こると生活に支障を来します。三叉神経痛自体は、血管の圧迫のほかに脳腫瘍やウイルス感染でも起こりますが、血管の圧迫が原因の場合には減圧手術で痛みを取ることができます。

   他に舌咽神経が圧迫されると、食べ物や水分を飲み込む時に喉の奥がひどく傷み、舌咽神経痛と呼ばれ、やはり脳神経減圧術の効果があります。

顔面けいれん、三叉神経痛、舌咽神経痛などに対する脳神経減圧術は、非常に有効な治療法ですが、頭の手術であり生命のリスクを伴い合併症もあり得ますので、手術の内容と有効性、危険性について担当の医師に十分な説明を受けてください。